わが国の保育に対する価値観の変遷と札幌市手稲区にみなここ保育園が誕生するまで ~保育園に預けられる子どもはかわいそうなの?~
2021/07/27 コラム
札幌市手稲区のみなここ保育園です。久しぶりのコラム投稿となってしまいました。札幌市手稲区も連日の猛暑に見舞われていますが、そんな中でも園児たちは元気に活動しています!
さて、つい最近のことですが元首相による女性蔑視発言が世間を騒がせるということがありました。わが国では1986年に男女雇用機会均等法が施行されています。そして1990年に当時の厚生省の前年の人口動態統計で合計特殊出生率が過去最低の1.57と判明し、少子化問題が顕在化されました。女性の社会進出を妨げている要素の1つに、女性の仕事と育児の両立をサポート体制が脆弱であることが挙げられます。この状況を改善するため、近年では待機児童ゼロを目指し、保育園の定員を増やすという政策がとられてきました。このように、女性の育児と仕事の両立を支援することで女性の社会進出を促進するという考え方がだんだんと広まったので、預ける側も預けやすくなったとは思います。国民生活白書によると、子育て世代における共働き率も上昇してきていることからも、子育て世代にとって幼い子どもを預けられるかどうかは、大きな問題となっています。それは札幌市手稲区の状況も例外ではないと思います。
しかし一方で、子育ては家族の責任、とりわけお母さんの責任だという考え方も根強く残っています。核家族化が進んだ我が国では、家族が閉鎖的になりやすく、子育ての責任も家族だけに集中しがちです。残念なことに、実際に保育関係者の中にも、子育ては家族の責任であると考えている方も多くいます。なぜこのようなジレンマが生まれてしまっているのでしょうか。その理由は、保育士の多くが子どもが好きという気持ちを強く持っていることに由来します。つまり、この子どもが好きだということが、子どもにとって一番良い環境を考えると、それは家庭であり、つまりお母さんが家庭で子どもをみるべきだという考えに至っていることが一因となっているのだろうと思います。
実際には子どもを預けることが多くなっているにもかかわらず、預けることをよしとしない規範がいまだに根強く残っているわけですが、それなら保育者も、保護者も家族の責任を大切にしていることを前提とした支援の形を考えていかなければいけないのだと思います。私たちは、子どもを長時間預けることが子育て責任の放棄として理解されることがないような支援を提供することが重要だと思っています。つまり、保育者と保護者がお互いに子育ての対等なパートナーとして認めあえるような関係を目指しています。そのためには、保育者が子どもに提供する保育があまり集団的なものにならないことが重要となります。当園の定員が12名という小規模保育園となったのは、正に子育ての対等なパートナーを目指すための保育できるギリギリの人数であると考えたからです。そして、札幌市手稲区の保護者様とそのお子様を中心にお預かりし、手稲区に居住している保育士が個々に関係性を形成できるような環境を築くことが重要になると考えたからです。パートナーを目指すための保育の実践には、いわゆる認可保育園で定めれれている保育士の数より多く人材を配置し、お子様と保護者様と丁寧に関わり、深くコミュニケーションをとることが必要となります。そんな環境を札幌市手稲区に作りたいという想いでした。
保護者様もお仕事がお休みの日にはぜひ積極的に保護者はお子様と関わって頂きたいと思います。手稲エリアは、札幌市内の中でも特に自然に恵まれた子育てしやすい環境です。お休みの日にお子さんを連れてのんびり過ごせるスポットもたくさんあります。例えば、手稲山に出向き、春には山菜採り、夏から秋にかけてはハイキング、冬はスキーなどのウィンタースポーツというように四季を通じてお子様とのふれあいの時間を作って頂ければと思います。